Learning Design Lab. ラーニング デザイン ラボ
#社会のしくみ学

日本の社会制度を擬似体験するライフ・リテラシーボードゲーム

挑戦!ライフ・リテラシーゲーム

『挑戦!ライフリテラシーゲーム』は、日本社会の中で暮らしていく上で関わることになる「税金」「社会保障」「労務」「憲法」などの社会制度を、幅広く学ぶことのできるボードゲームです。多くの人が子どもの頃に遊んだ『人生ゲーム』のように、社会人になってからの人生のイベントが記されたボードと、さまざまなカード類を使って、遊びながら分かりやすく社会の仕組みを学ぶことができます。

学びのポイント

  • 税金や年金などの社会制度の仕組みを擬似体験できる
  • 人生に必要な知識や情報を持ち、使いこなせる力をつける
  • 普段と異なる立場からの視点を知る

対象:10歳〜


日本の社会制度とそれにまつわるお金についてどれくらい知っているでしょうか。

多くの社会人は、年金や健康保険料、税金など、さまざまな項目でお金を納付しています。これらのお金は、国に一度集められ、政策を通して国民にいろいろな場面で還元されています。しかし、ほとんどのお金は給与から自動的に徴収され、国家予算の一部として扱われるため、そのお金が実際にどのように使われたのか、自分たちのお金の流れを認識するのは難しい仕組みとなっています。

このボードゲームでは、<税金><社会保障><選挙>などの制度を楽しく学びながら、社会で暮らしていくためのライフ・リテラシー(※)を身につけるために作成されたものです。

※ライフ・リテラシーとは「人生や生活に必要な知識を持ち、使いこなせる力」のこと

学び方

「就職」をスタートに、サイコロを振って社会の縮図が再現されたマップを進み、止まったマスのイベントをこなして人生経験を積みながらゴールを目指します。

ゲームの中では、実際の人生のようにさまざまなイベントが発生します。全員が参加する必要のあるイベントもあれば、それまでに積み上げてきたポイント(人生経験)によって参加が決まるものもあります。

ゲーム中で使用する<保険証><年金手帳>などのツールは実物に近いデザインで作られているため、実生活と重ねながら学ぶことができます。

給料

ゲームの中での主な収入は、働くことでもらえる<給料>です。最初の職業はランダムにカードを引いて決まります。職業のタイプは、会社員や公務員、専門職、またYouTuberや社会起業家の個人事業主など、などさまざまな職業に分かれています。

職業や職位によって給料と税金が異なり、例えば「個人事業主」の場合は、給料日ごとにサイコロの出目で給料が変わります。一方で「会社員」の場合は、給料が上がる「出世のチャンス」が設定されていて、ゲームの中でもらえる<リテラシーカード>のポイントによって決まります。

<職業カード>と<リテラシーカード>

リテラシーカードの内容は、「海外研修に参加(見聞を深める)」「地域の行事に参加(人脈を広げる)」などといった、自己研鑽や人との交流、社会貢献などライフ・リテラシーを高めるさまざまな出来事が記載されています。出来事の難易度に合わせてポイントがついていて、高いポイントを持っていると職業を自由に広げるチャンスを掴みやすくなる設定です。

税金と保険料

給料日には給料を受け取り、<税金>と<保険料>を支払います。この時に支払ったお金は役所に保管され、選挙の公約で決まった給付金やゴール後の年金の支払いに使われます。

税金と保険料の細かな内訳は、配布されたカードのひとつである<給与明細書>から確認することができます。

ゲーム開始と同時に発行される<保険証>と<年金手帳>

時折、ゲーム中では税金等の支払いが出来なくなるケースも発生します。役所に猶予の相談をすることもできますが、何の相談もせずに滞納し続けると<滞納金>を支払わなければなりません。

クイズマス

<クイズカード>のマスに止まると、社会制度に関係する憲法や法律についてのクイズがランダムに出題され、難易度は簡単な選択問題から、大人でも頭を悩ませる問題まで、いくつかのレベルに分かれています。

クイズ例:レベル2

税金はみんなの生活のために使われます。では、いったい何に使われているのでしょうか?
「選挙の費用。ポスターの印刷や、選挙カーのガソリン代」 ○か×か

選挙と投票

ボードのマス目に書かれたさまざまな社会事象の中には、「内閣総辞職」という出来事も用意されています。このイベントが発生すると、実社会と同様にすぐに「選挙」が始まります。

プレイヤーは、<選挙の争点>に書いてある争点とそれに対する党の公約を元に、どの党に投票するかを考えます。自分の置かれたゲームの状況に有利な公約を掲げる党もあれば、みんなが恩恵を受ける公約を掲げる党もあるため、何を軸に投票するかで、各プレイヤーの状況が大きく影響を受けます。

選挙の争点例

<結婚手当>:結婚した人に税金からお祝い金10万円支給!
あるいは
<リテラシー手当>:リテラシーポイントが4点になったら10万円支給!

<選挙の争点>カードと投票箱

投票日には、全員で投票箱に投票をして、党の当選が決まります。党が掲げた公約の実行には、役所マスにみんなが置いたお金が使われ、国に一方的に税金を納付するだけでなく、時には還元されて支給されます。

また、国に毎月お金を支払う年金や保険は、支払った金額に合わせて社会保障が受けられ、ゲームの中で起こる大災害イベントでは、<支援給付金>がプレイヤーから徴収した税金から支払われるようになっているなど、自分たちのお金と社会との関係性がとても理解しやすい仕掛けになっています。


私たちの税金や保険、法律や選挙。大切だけれど、大人になってなかなか学ぶ機会の少ない社会そのものの仕組み。ボードゲームを通じて楽しみながら、一市民として知っておくべき仕組みを学ぶことができます。まさに、大人のための「人生ゲーム」かもしれません。

紹介したボードゲーム

挑戦!ライフ・リテラシーゲーム

掲載日

執筆:LearningDesignLab編集部

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