1995年に発生した阪神・淡路大震災、2011年の東日本大震災、2018年に起きた西日本豪雨、そして2026年に発生した令和8年熊本地震など、地震・台風・豪雨といった自然災害が近年多発しています。将来的にも、南海トラフ地震や首都直下地震、気候変動によるゲリラ豪雨・土砂災害など、私たち一人ひとりが「災害リテラシー」を高めることは、もはや日本人の必須科目と言っても過言ではありません。
これまでも、学校や職場で誰もが一度は「避難訓練」を経験したことがあるかと思いますが、そうした訓練をその場でやって終わりというだけでは、実際の災害時に直面する多様なリスクや、その場に応じた具体的な判断方法などを習得することはなかなかできないのではないでしょうか。
今回紹介する防災学習コンテンツ『ヤフー防災模試』『3分でできる避難訓練 スマホ避難シミュレーション<地震編>』(以下、スマホ避難シミュレーション)は、スマートフォンやパソコンを使って、ゲーム感覚で手軽に防災知識を学ぶことができるデジタルコンテンツです。
『ヤフー防災模試』はこれまでにのべ520万人を超えるユーザーが体験し、日本災害情報学会が主催する「2025年度廣井賞」を受賞するなど、社会的な啓発ツールとしても高く評価されています。どちらのコンテンツも、3月の震災の節目や9月の防災月間などに合わせてアップデートや特別編も随時作られ続けています。
学びのポイント
- 日常で使うスマホやアプリの操作を通じて、災害時の知識や行動を学べる
- 物理的な被害だけでなく、「心理的なリスク」「災害後の生活の仕方」まで理解できる
- 災害の「知識」と「追体験」をセットで学習することで、実際の災害時に必要な行動を総合的に学べる
対象
- 中学生・高校生~
いつ、どこで発生するか分からない地震や自然災害。私たちは日頃から「備えが必要だ」と頭では分かっていても、いざその瞬間が来たときに、自信を持って正しい行動をとれるでしょうか。
災害時に直面するさまざまなリスクを体系的に学べるコンテンツが、『ヤフー防災模試』です。ユーザーはスマートフォンやパソコンを使い、クイズ形式で「発災」「避難方法」「避難所での生活」「生活再建」という一連のプロセスを学ぶことができます。

本コンテンツでは、学びたい知識や状況に合わせて、全部で5つのコースが用意されています(2026年10月時点)。
- 速習編:「発災」から「避難所生活」までの要点を確認できる全10問のシミュレーション
- 地震編:「発災」「避難」「避難所」、さらにその後の「生活再建」までを網羅した全25問の本格的なコース
- 台風・豪雨編:近年発生リスクが高まっている「気象災害」に対応した全25問のシミュレーション
- 阪神・淡路大震災30年【特別編】:阪神・淡路大震災の発生から30年が経過したことで追加された全10問のコース。「実際に起こった出来事」をもとにしたクイズが出題されます
- 南海トラフ地震に備える【特別編】:今後の地震災害を鑑みて、追加された全10問のコース。内閣府が発表した新たな被害想定や気象庁の発表、被災地の記録、さらには大きな被害が想定される地域の自治体職員との意見交換を踏まえて開発されました
コースを選択するとさっそく問題がスタート。出題形式は、3択から選ぶ問題をはじめ、図をタップして解答するものなど、バリエーションが豊富です。

さらに、画面のボタンを押して「災害用伝言ダイヤル(171)」への通話を疑似体験したり、心臓マッサージの正しいスピードに合わせて画面をタップしたりするような、より実践的な問題も用意されています。

解答後は、正解・不正解の判定とともに、その答えに至る理由や、より詳しい背景知識が丁寧に解説されます。場合によっては、関連する公的機関のガイドライン、より深く学ぶための外部リンクも添付されており、その場で疑問を解消して正しい知識を身につけられます。

また、出題される問題の幅広さもポイントです。たとえば『速習編』では、豪雨、地震、津波など、要点を絞った基本問題が網羅的に出題されます。一方、『地震編』や『台風・豪雨編』では、災害そのものへの対処だけでなく、地震保険で補償される金額の限度額、避難生活上の注意点、スマートフォンのバッテリーの持たせ方など、被災したときに役立つ知識を学べます。
特別編のコースでは、より特定の災害にフォーカスした知識が得られます。『阪神・淡路大震災30年』では、震災発生時に起きた出来事をもとにして、被害が拡大した要因や火災問題、そしてこの震災をきっかけにして生まれたものについて学ぶことができます。たとえば、ボランティア団体や民間非営利団体が数多く誕生し、のちに「ボランティア元年」と言われるようになりました。また「災害用伝言ダイヤル(171)」が開発されたのも、阪神・淡路大震災がきっかけです。

また『南海トラフ地震に備える』では、今後予想される地震や津波の被害状況に加え、特有の臨時情報が発表された際の対応など、今からできる具体的な備えについて理解を深められます。

どのコースも問題の解答中、画面の左下に全問解答するまでに「どのくらいの時間がかかっているか」を示すタイマーが表示されています。これは、とっさの判断力が問われる災害時を想定しているためで、解答の「正確さ」だけでなく「スピード」も点数に影響する仕様です。
すべての設問に解答した後は、結果が点数や偏差値、そしてユーザーの能力に応じたキャラクターと五角形チャートで可視化されます。これにより、自分の防災力の強みや、どの分野の知識が不足しているかといった傾向を一目で把握できるようになっています。


知識を習得した後は、『スマホ避難シミュレーション』
『ヤフー防災模試』で知識を身につけた後は、『スマホ避難シミュレーション』で実際に被災した状況を追体験してみてください。
このアプリは、巨大地震における火災の危険性や、津波発生時の「防災行動」に着目した、約3分間の避難体験コンテンツです。

〈スタートする〉をクリックすると、巨大地震が発生し、夫は自宅、妻は外出先という離れ離れの状況から始まります。

妻: 「外出先から避難 大津波警報が発令」バージョン
夫: 「自宅から避難 近所で火災が発生」バージョン
ユーザーは、2つのシミュレーションを通じて異なるリスクを疑似体験できます。クイズは3択の中から最適な防災行動を選ぶことで進行し、間違えた場合はその場で「✖」が表示され、正しい解答へと導かれる仕様です。

また、進行に合わせてゲーム内のスマホアプリが立ち上がり、LINEのメッセージが送られてきたり、マップが表示されたりする演出も取り入れられています。災害時、関連アプリ内のどこにどのような情報や連絡手段があるのかを、実際の使い方に即して体験することができます。

LINEを使っての安否共有の方法と、その確認の仕方を本コンテンツの中で学ぶことができるのはとても重要なポイントです。これまで伝言ダイヤルでのメッセージ共有などは、実際に発災するまで使ったことのない人がほとんどでした。しかし、スマートフォンが欠かせない現代において、災害時にLINEで安否確認ができ、それを事前に確認しておけるのはリアルな備えにつながります。

ちなみにこちらのアプリでも、シミュレーション終了後のスコア画面では正答数に合わせたスコアが表示され、スコア画面を下にスクロールすると、「備えておきたいアプリ機能」としてコンテンツに登場したアプリが紹介されます。

さらに「振り返り」では、国立研究開発法人 防災科学技術研究所の臼田裕一郎氏の監修による各バージョンのより詳細な教訓が解説されます。
(一部を紹介)
通電火災:停電から電気が復旧したときに起こる火災。家を出て避難する場合は必ずブレーカーを落とす
正常性バイアス:異常事態の際に「大丈夫だろう」と思い込んでしまい、初期避難が遅れる心の動き
災害時のデマ:正しい情報が不足する中で広がるうわさを鵜呑みにせず、拡散しない大切さ
群衆雪崩:多くの人がいる場所で慌てて出入り口に駆け寄る危険性と、冷静に案内に従う必要性
『ヤフー防災模試』と『スマホ避難シミュレーション』は、単に知識を暗記するのではなく、具体的なストーリーや、リアルな写真・音の演出などを通して、実際に災害に遭ったときに役立つ学びを身につけることができます。
自然災害大国の日本で暮らす上で、一度やって終わりにせず、「ハイスコアを目指す」「解答時間を意識して挑戦する」「少し時間をおいてからもう一度解いてみる」といった形で、ぜひ何度も繰り返し学んでみてください。

紹介したゲームコンテンツ